遠くのこだま

日々のあれこれ写真日記

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本を愛した人の書いた本


遠い朝の本たち遠い朝の本たち
(1998/04)
須賀 敦子

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まだ人生の光も翳も多くを知らなかった遠い朝に、著者を感動させた数々の本をめぐるエッセイ。
幼い頃に家族から贈られた童話、本を通して語られる女学生時代の友人との思い出、空襲警報を聞きながら防空壕へ持ち込んだ詩集、読書家だった父親の書架から持ち出して読んだ本。
著者の人生の節目節目には必ずたいせつな本の記憶があって、本とともに歩んできた日々への愛おしさが読者の胸にもあたたかく沁み込んでくる。

中でも一番心惹かれたのは、「葦の中の声」という章に書かれたアン・リンドバーグの日本不時着の話の回想。
千島列島の海辺の葦の間から救出されたリンドバーグ夫妻は、後に横浜から出港する際、見送りの日本人たちが口々に叫ぶ「さようなら」という言葉の意味を初めて知る。
英語のグッドバイや仏語のアディユが神の傍での再会を思って発する、いわば祝福的な言葉なのに対して、日本で別れの時に発する「さようなら」は「左様ならば=そうならねばならぬのなら」という「美しいあきらめの表現」だ考える。

「さようなら」という日常語は私の中では単純な符牒であって、その言葉本来の持つ意味など深く考えたこともなかった。
「美しいあきらめの表現」、か……。
外国人ならでは発想かも知れない、と感じつつも、「さようなら」と言葉を発する時、私は「そうであらねばならないなら致し方がない」気持ちを今までよりこころもち丁寧にこめた自分の声や言い方を、少し意識するようになった。

この話が収録されているリンドバーグ夫人のエッセイは、標題も翻訳者もはっきりとはわからないらしい。でもそれを心に留めおく須賀さんのような人がいるからこそ、長い年月を経て私もそれを知ることができる。
名もない日本人からアン・リンドバーグへ、アンの文章から須賀さんへ、そして私にも届く言葉。

本を読む楽しみをいつまでも忘れたくないなぁ、と思う秋の宵であります。
眼も悪くなって遅読になってしまったし、記憶力の衰えで、よほど印象に残る内容でないと、すーっといとも簡単に抜けていってしまうのは寂しいですけれど^^;



[ 2008/10/06 20:07 ] 読書 | TB(0) | CM(2)
お名残り惜しや
そよこさん こんばんは。

「人生の節目節目には必ずたいせつな本の記憶があって」―本好きの人は多かれ少なかれそういうところがあるのかもしれませんね。
幼いころの思い出の中にも、学生時代にも、いろいろな思い出に付随して本の記憶があるように思います。
困ったとき、落ち込んだとき、決断を迫られたとき、心境にぴったりな本に出会ったり、本の中の一節に助けられたりということもありました。
「さようなら」が「美しいあきらめの表現」というのを聞いて、ふっと、さだまさしさんの「風に立つライオン」http://www.mtblue.org/music/lyric/lion.phpという歌を思い出しました。
手紙をそのまま歌にしたこの曲の最後の歌詞が「さようなら」なのです。
西洋人が未来に目をむけるのに対して、日本人は去ってゆくものに心を向ける民族なのでしょうね。

読書の秋といいますもんね。
最近は、ついつい読みやすいものばかりに手が伸びてしまったり、昔読んだものを読み返したりが多いんです。
そよこさんが本の感想を載せてくださるので、よい刺激をいただいています。
ただ・・・記憶力低下で、本屋さんに行ったときにはタイトルが思い出せないことが多々あります(^_^;)
[ 2008/10/08 00:12 ] [ 編集 ]
ミツコさん、こんばんは
>西洋人が未来に目をむけるのに対して、日本人は去ってゆくものに心を向ける民族

なるほど~。
映画などでも名シーンと言われているものには、出会いの瞬間よりも別れの余韻の方が多いかもしれませんね。

「風に立つライオン」は知りませんでした。
さださんの歌には昔から日本語が大事に使われていましたよね。
この歌にも別れた男女のウェットな部分ではなく、目的をもって自分の道を進んでいく人間の潔さ、清々しさが漂っていて、いいなと思います。

タイトルや著者名が出てこない(というか覚えきれない^^;)なんて、もう日常茶飯事になっています。
図書館だと端末があるのでなんとか探し出せていますが、本屋さんではお手上げ。
思いついた時に、できるだけ買い物メモのウラなんかに走り書きしておくことはしているんですけどねぇー。

[ 2008/10/08 21:23 ] [ 編集 ]
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